エレファント・マン感想

小瀧望は憑依型の俳優だと知った。演技が上手いという表現は少し違う気がする。エレファント・マンことジョン・メリックが動き出した瞬間、そこに小瀧望はいなかった。


(因みに重岡さんは「取り込み型」だと思ってます。それが役者の真の姿であるように自然な演技をするので。)


エレファント・マン」は緻密に計算され尽くした舞台なのだろうが、良い意味でそうは見えない。たとえ何かトラブルがあってもそこで芝居が止まったりはしないだろう。台本に書いていないことでもジョン・メリックならどう対応するか役者は分かっている、そう感じた。そこにジョン・メリックが生きていた。


スラリと長い手足もそのようにしか動かせないかのように湾曲し、顔の筋肉は固まり、小顔であることも感じ取れなかった。抜群のスタイルをあんなにも変形させられるのか。


あと何より圧倒されたのが、声。腫瘍が内臓を圧迫し、話す度に荒くなる呼吸。声は上ずり、聞いているだけでも胸が痛くなる。不自由な発声のなかでも言葉はしっかり聞き取れる。哀しさ、怒りと絶望、喜び、様々な感情も感じ取れる。


想像していたよりもジョン・メリックの台詞数が多かったが、それも良かった。話すのもひと苦労だろうが、それでも話したい、伝えたいのだろう。人と話すことが好きで好奇心の強い性格がよく伝わってくる。


純粋で知的でユーモアがあって、愛すべき存在のジョン・メリック。1幕では何度も「抱きしめたい」と胸が締めつけられた。「もうやめて」と止めに入りたくもなった。



ジョン・メリックを見て当たり前のように抱く感情が「可哀想」だとすると、その周りの貴族や富裕層もある意味「可哀想な人達」なのではないか。そんなことも考える。


周りの役者の方々も、役として生きていた。その人の歴史と繊細な感情が見える。何せあの舞台を9人の役者で構成しているのが凄い。パンフレットを開いたら「僕は4つの役をやらせて頂いているもですが...」「私も4つの...」と。


ジョン・メリックの壮絶な6年間を2時間にまとめ上げた作品。予想していた通り、悲しく切ない物語であった。でも確実に、それだけじゃない。


本当の強さってなんだろう、まっとうな人生ってなんだろう、そんなことを考えずにはいられなかった。


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最後に、


小瀧望さんを応援してきて本当によかった。少々上から目線になってしまうけれど、誇らしくて仕方なかった。


アイドルとしての小瀧さんではなかったけれど、凛々しく達成感に満ちた表情の小瀧さんに出会えた。


努力を積み重ねた上での達成感であろう。この舞台を通して多くの芸能関係者の目に留まることは明白だ、そう確信できる。


これからもジャニーズWEST小瀧望、並びに俳優小瀧望の活躍が楽しみで仕方ない。


私ももっと頑張ろう。生きる力が湧いてきた。





追記:エレファントマンを観賞した他の方々の感想やレポも読んでみてください。野村萬斎さんのコメントも。この舞台の素晴らしさが伝わると思います(^^)