検察側の証人(小瀧さんfocus)

先程書いた「検察側の証人 感想」には小瀧さんのことが書かれていなかったので、こちらに書きます。寺西くんのことも少し。








実力のある俳優さんを従えての座長。感染拡大が進む中での舞台作り。流石に不安があったはず。


しかし目の前の俳優小瀧望は、周りの俳優にも劣らず、物語の中心となる青年を演じきっていた。見事に小瀧さん演じるレナードに振り回された。


西洋の舞台が似合う理由もわかる。端正な顔立ちに目や表情の豊かさ。間の取り方や、長い手足を生かした動作。


あと、声量が凄い。本当に声量オバケやった。


「小瀧声デカイねん」そんなメンバーの声すら聞こえた気がする(笑) 勿論声量調節は出来ているし、声量の幅が凄いということ。まだそんなに出たん?!って。見た目の華だけじゃない。声という武器を持ってた。


よく響くし、聞き取りやすく明瞭。そういえば前作でも小瀧さんの声に感激してた気がする。


小瀧さん演じるレナードはきっと冷徹でありながらも、人好きで、人間らしい弱みがあるの人物なのだと思う。『あの人は絶対に良い人です!』そう言う事務員の見方も、『あの人は酷いんです!私にはわかります!』そういう家政婦の見方も間違っていなかった。見えた一面が違っただけで。


観客にまでも好青年と信じ込ませ、最後には恨みを買う。悪役として本当に恨まれたら、それだけ演技が上手い証拠だというし。小瀧望は自分の印象を自在に変えてしまうほどの技量を持つ俳優だった。


舞台のワンシーンで「母性本能をくすぐるタイプなんだよなぁ」とあったが、本当に小瀧さんはハマり役として抜擢されたのだなと実感する。


でもレナードは小瀧望そのまんま、ってワケじゃない。前作同様、舞台上に ジャニーズとしての小瀧望” は居なかった。目の前にいるのはロンドンを生きたレナードだった。


そしてカーテンコールでは凛々しい座長だった。お辞儀をする前に、端まで揃っているか一度確認する。それからスッと息を吸い、誰よりも深く頭を下げる。


カーテンコールの際、周りの俳優の方々の温かみを感じたけれど、あれは舞台中とのギャップからなのかな。座長を温かく支えているということかな。


きっと雰囲気の良い、温かいチームだったのだと思う。また裏話など聞きたいな!





あと同じジャニーズ事務所から出演していた寺西くん。初めて拝見したけれど、凄い役者さんだった...


終始レナードを睨みつけているし、獲物に照準を合わせて逸らさない狼のような。台詞数が多いとは言えなかったけれど、表情や仕草の細かな動きがずっと抜かりなく。


眉と目線の使い方が上手なんだろうか。嫌味な顔が本当に似合う、と思ったけれどそう思わせるのも寺西くんの実力だったのか。これから寺西くんの活躍を見ていきたい。





今回、劇場と家が近かったことも、自名義が当選したことも、公演が開催されたことも、全てが奇跡なのだと思う。


観劇できることの幸せを何度も噛み締めた。





私は小瀧さんのファンとしてこの「検察側の証人」を知ったが、小瀧さんのファンになったお陰で素晴らしい舞台にも出逢えて、舞台の面白みを知れて、素敵なお友達さんとも出逢えて、沢山与えられてるなぁと思う。


嬉しい。ありがたい。


そして小瀧さんをこれからも応援していきたいと改めて思う。今後の活躍も楽しみだな〜。私ももっともっと頑張ろうっと。






















































検察側の証人 感想

何が真実で、何がウソなのか。はたまた何が真実であってほしいのか。


そもそも真実は何のためにあるのか。


そんなテーマについて考えさせられたが、とにかく舞台として、演劇として、見応えがあって本当に面白かった。



実力派俳優の全力で、緻密で、生きた演技を間近で見られたこと。あの気迫と佇まい。鋭く響く声。張り詰める緊迫感に、こちらも息をのんだ。



巧みなセリフ術で陪審員(=観客)の心に入り込む成河さん、只ならぬオーラで会場の空気を支配する瀬奈じゅんさんらによって私達はその世界に没入し、魅了された。舞台上に一人一人の感情があって、それぞれが動き、また乱される様子が見えた。



確実にネタバレ厳禁ではあるが、何度観ても面白いだろうなぁと思う。セットや衣装のこだわりについても、目を凝らせば凝らすほどに興味深い。





-------------↓    以下ネタバレ ↓--------------





 裁判中ローマインが言った「夫が(私のことを愛していると、)本当にそう言ったのですか?」という台詞も、今思い返すと......







物語の終盤の終盤、


レナードの裏切りに対して、ローマインをはじめとする多くの人(私含む。)が怒り、失望した。


いや、裏切りとは言っても、それも私の勝手な期待に過ぎなかったのかもしれない。偏見に過ぎなかったのかもしれない。


「純粋で人好きな青年であってほしい。」「ローマインと幸せに暮らすのだろう。」


そんなハッピーエンドに向けた私達の想いを、アガサクリスティは皮肉さえも込めたように、そして爽快に鮮やかに、ひっくり返してくる。


私達の期待や偏見で出来上がったレナード・ポウルという好青年は、目の前で消えた。





うわ〜参った!これはやられた!でも最高に面白かった!!!





私達をタダでは帰さない。そんな想いも感じた気がする(笑)


その思惑通り、私は良質な舞台に充実感を感じつつも「あれはどうすべきだったのか?」「真実とは?」と考えずにはいられなくなった。





実際に私は毎日沢山の真実に触れ、そして沢山の偏見と先入観とともに暮らしている。


きっとこれからも私は沢山の人と作品と真実と嘘に出逢っていくのだろう。そうやって沢山のことに触れて、考えて、深みのある人間になれたらいい。






今は作品を発信することも容易ではない時代にある。一人でも多くの人にこの舞台「検察側の証人」が届きますように。無事千秋楽まで終えられますように。








p.s.他の方々のレポも読んでみてください。色々な考察があって、更に面白いと思います(^^)


































































エレファント・マン感想

小瀧望は憑依型の俳優だと知った。演技が上手いという表現は少し違う気がする。エレファント・マンことジョン・メリックが動き出した瞬間、そこに小瀧望はいなかった。


(因みに重岡さんは「取り込み型」だと思ってます。それが役者の真の姿であるように自然な演技をするので。)


エレファント・マン」は緻密に計算され尽くした舞台なのだろうが、良い意味でそうは見えない。たとえ何かトラブルがあってもそこで芝居が止まったりはしないだろう。台本に書いていないことでもジョン・メリックならどう対応するか役者は分かっている、そう感じた。そこにジョン・メリックが生きていた。


スラリと長い手足もそのようにしか動かせないかのように湾曲し、顔の筋肉は固まり、小顔であることも感じ取れなかった。抜群のスタイルをあんなにも変形させられるのか。


あと何より圧倒されたのが、声。腫瘍が内臓を圧迫し、話す度に荒くなる呼吸。声は上ずり、聞いているだけでも胸が痛くなる。不自由な発声のなかでも言葉はしっかり聞き取れる。哀しさ、怒りと絶望、喜び、様々な感情も感じ取れる。


想像していたよりもジョン・メリックの台詞数が多かったが、それも良かった。話すのもひと苦労だろうが、それでも話したい、伝えたいのだろう。人と話すことが好きで好奇心の強い性格がよく伝わってくる。


純粋で知的でユーモアがあって、愛すべき存在のジョン・メリック。1幕では何度も「抱きしめたい」と胸が締めつけられた。「もうやめて」と止めに入りたくもなった。



ジョン・メリックを見て当たり前のように抱く感情が「可哀想」だとすると、その周りの貴族や富裕層もある意味「可哀想な人達」なのではないか。そんなことも考える。


周りの役者の方々も、役として生きていた。その人の歴史と繊細な感情が見える。何せあの舞台を9人の役者で構成しているのが凄い。パンフレットを開いたら「僕は4つの役をやらせて頂いているもですが...」「私も4つの...」と。


ジョン・メリックの壮絶な6年間を2時間にまとめ上げた作品。予想していた通り、悲しく切ない物語であった。でも確実に、それだけじゃない。


本当の強さってなんだろう、まっとうな人生ってなんだろう、そんなことを考えずにはいられなかった。


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最後に、


小瀧望さんを応援してきて本当によかった。少々上から目線になってしまうけれど、誇らしくて仕方なかった。


アイドルとしての小瀧さんではなかったけれど、凛々しく達成感に満ちた表情の小瀧さんに出会えた。


努力を積み重ねた上での達成感であろう。この舞台を通して多くの芸能関係者の目に留まることは明白だ、そう確信できる。


これからもジャニーズWEST小瀧望、並びに俳優小瀧望の活躍が楽しみで仕方ない。


私ももっと頑張ろう。生きる力が湧いてきた。





追記:エレファントマンを観賞した他の方々の感想やレポも読んでみてください。野村萬斎さんのコメントも。この舞台の素晴らしさが伝わると思います(^^)